コラム

介護業界が抱える現状と見据える未来

介護業界は少子高齢化などの長期的な問題で将来的にも注目されることは間違いないでしょう。

今後の日本の少子高齢化は今後さらに拡大し、経済や社会面から考えても決してよい状況とはいえないでしょう。

しかし、ピンチはチャンスになり得るかも知れません。

現状を知り、将来を見据えることで解決策が出てくる、行動ができるのです。

今回は、介護業界が抱える現状と見据える未来についてご紹介します。

日本の経済との関係性とは

経済に対しては労働人口減少による生産性の低下は避けることができず、会社員の給料の減額や貯蓄重視という傾向の高まりなどで、活性化は期待できなくない可能性が高いです。

社会保障費負担が増大すれば、生活水準も下がり日々の生活に重大な影響が及んでしまいます。

そして日本社会を担うこととなる20~30代の税金や保険料負担が増え、家計が圧迫されることは避けることができないといえるでしょう。このため、増々単身者や夫婦のみの世帯が増えてしまうことが考えられます。

 

データから見る今後予測される介護業界の未来とは

2040年はすべての団塊ジュニア世代が65歳以上になる年ですが、高齢化率は35.5%になると予測されています。

団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年だけでなく、その子世代が高齢者になる2040年についても考えていかなければなりません。

さらに2065年になると、高齢者1人を現役世代1.3人が支えなければならないという予測さえあり、いずれ現役世代が高齢者世代を支えることができなくなり社会保障制度も崩壊してしまうと危惧する声さえきかれます。

また、皆さんがご存じの通り、日本人の平均寿命は年々上昇傾向にあります。厚生労働省の「簡易生命表(令和3年)」でも令和3年の日本人平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳という結果になっています。これは世界的に見ても高年齢になります。

1950年頃と比較するとその年数は20歳以上長くなっている状況になります。そして今後も医療技術の発達や栄養・衛生状態の向上により、将来はさらに寿命が延びるという予測です。

平均寿命が長くなることはよいことではありますが、健康な状態でいられる期間である健康寿命とは差があります。

平均寿命が健康な状態で生きていられる年数ではないため、平均寿命と健康寿命の間にある介護や医療ケアを必要とする期間を縮めていかなければ、今後も介護を必要とする高齢者は増加し社会保障費も大きくなってしまうでしょう。

 

介護難民が増え適切な介護が行き届かなくなることも

介護難民とは、介護を必要とする状態であるのにも関わらず、適切な介護を受けることができない状況にある方を指しています。

高齢化が進んでいるのに、介護人材など担い手が不足していることで、今後は介護難民が増える可能性も考えられます。

そもそも高齢者に対する介護を担う若い世代の人口は減少傾向にあり、増え続ける高齢者に対応することは難しい状況です。

それに加え、賃金が見合わず長時間労働といった激務のイメージが高い介護業界で働きたいと志望する若い世代も少なくなり、介護難民を生んでしまう要因になっているとも考えられるでしょう。

 

地方と東京で起きる介護課題とは

地方と東京で比較をして起こる介護課題について説明します。それぞれに課題がありそれを解決するために様々な手段が考えられるでしょう。

 

東京やその近郊の介護課題とは

特に東京近辺の一都三県では「介護問題」という課題を解決しなければならなくなっていますが、これは高度経済成長期に東京都とその近郊へ地方から移り住んだ方たちが高齢化しているという背景が関係しています。

現在でも地方から東京やその近郊へと人が流れる状況は変化していませんので、地方で育った子が進学や就職を機に上京する東京一極集中により、さらに介護難民は増える可能性があります。

東京周辺の周辺県では介護施設が多く設けられているものの、周辺県そのものでも高齢化が進んでおり、東京都に住んでいる高齢者を受け入れる余裕もなくなっています。

今後は地方都市に向け、高齢者を受け入れる余力のある介護施設に支援してもらうことも必要となるのかもしれません。

 

地方の介護課題とは

地方の介護サービスの事業所は、介護に携わるスタッフも高齢化が進んでいます。本来なら介護サービスの事業所の働き手となる若い世代も、都市部に移動してしまうので若手のスタッフが確保しにくい状況にあるといえるでしょう。

地方の高齢者が安心して介護を受けるためには、介護サービスの魅力を伝え、幅広い世代のスタッフが確保されていくことが課題となるでしょう。

また、都市部との地方では介護サービスに格差があります。介護保険サービスだけで充足させることは難しいので、今後はどのように介護保険外の介護サービスを利用できるような状況にするのか考えていかなければならないでしょう。

もし介護現場で働くことを考えるなら、地方の介護に対して抱える課題にも向き合っていくことも考えてみるのも良いのかも知れません。

 

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