厚生労働省は介護現場でICT化を促進しています。ICT化をすることでビッグデータの蓄積が可能となり、エビデンスに基づく介護サービスの提供を促進することにも繋がることになるのです。
ICTの利用促進とデジタル化がされることで行政に提出しなければならない書類作成なども従来よりも短縮させることができることや従来の業務を効率化することができるのです。
今回は、介護現場でのICTの利用促進とデジタル化についてご紹介します。
介護分野におけるI CTの活用について
介護分野におけるI CTの活用には、必要な情報通信機器があります。タブレット端末やパソコン、それに付随してインターネット通信環境が必要になります。
使用する「介護ソフト」には以下のようなものがあります。
- 利用者情報の管理
- アセスメント記録の作成・管理
- 具体的なサービス内容の記録
- 事業所内外での情報共有
- ケアプランの管理
- 介護報酬請求
- その他の業務支援(シフト表作成、計算書類作成、給与管理等)
介護分野におけるI CTの活用の効果とは
具体的な記録業務とは、以下のようなことがあります。
- 転記による事務負担軽減
- 記録時間の削減
- 転記誤りの削減
- 心理的負担の軽減
- データ管理による文書量削減
- 事業所内の申し合わせの効率化
- 事業所間のケアプランのデータ連携
地域医療介護総合確保基金を利用したICT導入支援事業とは
地域医療介護総合確保基金を利用したICT導入支援事業の目的は、ICTを活用した介護サービス事業所の業務効率化を通じて、職員の負担軽減を図ることです。実施する主体としては都道府県になり、令和4年度予算としては、地域医療介護総合確保基金(介護従事者確保分)137.4億円の内数になります。
補助対象は、「介護ソフト」、「情報端末」、「通信環境機器」などです。
「会計ソフト」は、記録、情報共有、請求業務で転記が不要であるもの、ケアプラン連携標準仕様、を実装しているもの(標準仕様の対象サービス種別の場合。各仕様への対応に伴うアップデートも含む)になります。
「情報端末」は、タブレット端末、スマートフォン端末、インカム等になります。
「通信環境機器」はWi-Fiルーターなどになります。
その他には、運用経費(クラウド利用料、サポート費、研修費、他事業所からの照会対応経費、バックオフィスソフト(勤怠管理、シフト管理等)になります。
地域医療介護総合確保基金を利用したICT導入支援事業の補助上限額等
事業所規模(職員数)に応じて以下のように設定します。
- 1~10人 100万円
- 11~20人 160万円
- 21~30人 200万円
- 31人~ 260万円
補助割合としては、一定の要件を満たす場合は、3/4を下限に都道府県の裁量により設定すること、それ以外の場合は、1/2を下限に都道府県の裁量により設定することになります。
近年のICT導入支援事業の実施状況とは
ICT導入支援事業の実施自治体数は、令和元年度15県、令和2年度40都道府県と増加し、令和3年度においては、全ての都道府県において実施されました。
また、助成事業所数(令和元年度195事業所→令和3年度5,371事業所)が大幅に増加しています。
テクノロジー採用でテレワーク導入も可能に
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、近年ではリモートワークやテレワークが推奨されています。
しかし現場で利用者と接することが仕事である介護施設では、テレワークを導入することに意味はあるのかと考えがちです。
ただ、介護現場でのすべての業務をテレワークで対応できなくても、利用者と接触する必要のない仕事なら、オンラインツールなどで対応できます。
日々の掃除や料理などの生活支援、食事・入浴・排せつなどの身体介護はテレワークで対応できません。
しかし次の業務などはテレワークで十分に対応できると考えられます。
レセプト業務
健康保険の保険者である組合健保や協会けんぽ、市区町村などに介護診療報酬を請求するレセプト業務は、在宅やサテライトオフィスなどを利用しテレワークで対応できます。
会議や研修
介護現場での事故防止や業務改善を目的とした会議の他、介護職員同士の打ち合わせなどはWEB会議ツールなどを使用することでテレワーク対応が可能となります。
介護計画書の作成業務
介護計画書や個別援助計画書など、利用者に提供するサービスの計画書を作成するときもテレワークを利用した対応が可能と考えられます。
介護記録や報告書の作成業務
現場での業務やその記録、利用状況の報告書などを作成するときにもテレワークによる対応が可能となるでしょう。
介護現場にテクノロジーを導入する上で利用できる支援や制度
介護業界は慢性的な人材不足に悩まされている業界のため、人手不足を解消する上でもデジタル化や最新のテクノロジーの導入は必要と考えられています。
そこで、厚生労働省でも介護現場がデジタル化に向けて取り組みしやすいように、ICT導入に対する支援などを行っています。
まとめ
今回は、介護現場でのICTの利用促進とデジタル化についてご紹介しました。
是非、ICT を理解した上で、ICT導入を検討してみてはいかがでしょうか。