コラム

介護施設で提供する食事で注意することとは

介護施設では、噛む力や飲み込む力が弱い利用者がいらっしゃると思います。そこで、介護施設で利用者に提供するのが介護食になります。

今回は、介護施設で提供する食事はどんなことに注意すればよいのかについてご説明します。

衣食住の「 食 」は健康に気を遣う高齢者になるほど重要度が増す傾向にあります。利用者からの信頼を得るためにも介護施設での食事について理解しましょう。

 

介護食とは

介護食とは特別な食事ではなく年齢を重ねることによって変化する身体に対応できる食事のことです。

たとえば噛みやすいようにするなど食べやすさを工夫したり、唾液が少なくなっても水分を補えるようにしたり、さらに香りや形状、彩りなどで食欲を促進させるといったことを行います。食材を細かく刻んだりミキサーにかけたりするだけではなく、ペースト状やゼリー状にするなど、食事をとる人の噛む力、飲み込む力に合わせて、食材の大きさやかたさ、形状を工夫するのです。

 

介護食を提供する目的

高齢により噛む力が低下していても、最初から細かく刻まれていれば噛み砕くことができます。下でつぶすことができるほど柔らかくすることや、飲み込む力が弱くなっているのならトロミをつけておくことなども必要です。

しかしそのような工夫が施された食事では、見た目が一般的な食事と異なり、食欲をそそらないという場合もあるでしょう。

この場合、彩りや香り、盛り付け、形状などを工夫することで、視覚や嗅覚を刺激し五感を使って食べることができます。食欲が低下し、低栄養となることを防ぐためにも必要なことです。

このように、弱まった機能を補うための食事を介護食といいます。

食事の形状だけでなく、生活習慣病を伴う時や、糖尿病や腎臓病などの場合には疾患に対応できる食事を提供することが必要となるでしょう。

いずれにしても、低下した食べる機能でもおいしさを感じ、味わうことができることを目的としています。

介護食を作る際に注意するべきポイント

高齢者になると柔らかいものの方が咀嚼しやすいです。そのため、繊維が多いものや固いもの、弾力があるものが食べにくくなるでしょう。

また、唾液の分泌量が減ることにより、食べ物が誤って咽頭と気管に入ってしまう可能性があります。そのため、乾燥したものや、サラサラした水やお茶などを避けて、とろみをつけた食事を提供するなどの工夫が必要です。

その際、注意するべきことは、水分をとらない状況になってしまうことです。高齢者は喉の渇きを感じにくくなる傾向があり、トイレが近くなるのではないかという心配から水分補給を控える方も多いです。そのため、介護者から積極的に「お水飲みましょうね!」などの声がけが重要になってくるのです。

また、高齢者は年を取るに伴い、どうしても味覚が衰えて、味を感じにくくなってしまいます。特に高齢の方は甘味と塩味を感じにくくなる傾向にあり、濃い味付けを好むようになるのです。提供する際には、注意する必要があるでしょう。

 

介護施設で提供する食事の種類

介護食とは通常の食事をより食べやすく工夫した食事ですが、具体的に次のような内容の食事を指しています。

 

①刻み食

通常の食事を2~3ミリ程度に細かく刻んだ食事で、飲み込む力はあるものの噛む能力が低下している方向けの食事です。口の中でまとまりやすく、飲み込みやすくするためにとろみをつけることもあります。

 

②やわらか食(ソフト食)

食材がやわらかくなるまで充分に煮込む、またはミキサーにかけて固めた食事です。舌や歯茎でつぶすことができるやわらかさなので、噛む力が低下している場合や飲み込む力が弱い場合でも安心して食事を取ることができます。

 

③ミキサー食(流動食)

食材をミキサーにかけ、ポタージュや液体状にした食事です。噛む力も飲み込む力もかなり低下している方に適しており、飲み込もうとしなくても喉の奥に流れやすいことが特徴です。ただ、誤嚥につながりやすいため、粘度には注意するようにしましょう。

 

④ゼリー食(嚥下食)

通常の食事ややわらか食をミキサーにかけ、ペースト状にしてゼラチン・寒天・でんぷんなどでゼリー状にした食事です。

飲み込む力が低下しているなど、嚥下機能が重度に悪化している方に適した食事といえます。

 

食事は介護施設での楽しみの1つです

介護施設で提供する食事は、高齢者の機能によってケアが必要です。

もし水分を摂りたがらないのなら、お茶をゼリー状にすることや、水で作ったゼリーに黒蜜をかけおやつのように提供するといった工夫も必要となります。

食べ物は生きていく上でのエネルギー源となるものであり、栄養摂取を目的とするだけでなく日々の暮らしに満足感を与えてくれるものでもあります。

特に介護施設で暮らす利用者にとっては、食事は楽しみの1つです。見た目を華やかにしたり食欲をそそる香りをつけたり、食べたいと感じてもらえる様々な工夫を行っていきましょう。

また、栄養不足に陥りやすい高齢者のために、食事全体のバランスを考えて不足しがちな栄養をたくさん含む食材を使うことも忘れないことが大切です。特にカルシウムやたんぱく質、食物繊維、ビタミンなどは不足傾向にあるため、献立に取り入れるように工夫してください。

 

まとめ

介護施設で提供する食事について注意するべきことをご説明しました。

加齢によって、高齢者の体の変化を理解して利用者に応じた食事を提供できるとおのずと利用者の満足度も上がることでしょう!

是非、食事について困ったことがあった際にはこの記事を見直してみてはいかがでしょうか?

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