家族の介護が必要になったことをきっかけに、仲の良かった家族が崩壊してしまうこともあります。
介護をきっかけに家族が崩壊してしまうことを防ぐためには、限界を迎える前に適切な対処が必要といえるでしょう。
そこで、介護で家族が崩壊してしまわないために必要な適切な距離感と、押さえておきたいポイントについて説明していきます。
家族が崩壊してしまう主な原因
一般的な家族関係を築くことができない状態を家族崩壊といいますが、もし家族が崩壊してしまうと、日常的な不和・暴力・暴言以外に離散や虐待などが起きてしまうリスクが高まります。
家族崩壊する原因として、
- 虐待・DVなど家庭内暴力
- 家族内の対立
- アルコール依存症
- ギャンブル依存症
- 経済的困窮
- 不貞行為
などが挙げられますが、介護による家族崩壊は、上記のうち家族内の対立や経済的困窮が関係するといえます。
介護をきっかけに家族が崩壊してしまう4つの原因
家族崩壊の原因の一つとして挙げられるのが介護をきっかけとするものですが、何が家族に負担をもたらすことになるのか、その原因として考えられるのは次の4つです。
- 家計が厳しくなる
- 出費が増え自由もなくなる
- 心身が疲弊する
- 家族間の介護負担に偏りがある
家計が厳しくなる
たとえば親の介護をするため、子が仕事を辞めなければならなくなるケースなどは、収入が途絶え家計が厳しくなってしまいます。
この「介護離職」は、自分以外に親の介護をする人がいないから起きるものであり、収入がなくなり経済的に困窮することが多くなります。
実際、介護離職者の約75%は経済的な負担を重く感じており、再度就職しようとしても働き先が見つからないという問題も抱えることになってしまうようです。
出費が増え自由もなくなる
介護中は出費が増え、介護サービスを利用するためにもお金がかかるため、子がつきっきりで介護するようになり自由も失います。
介護以外の生活資金や老後に対する備えも底をついてしまえば、経済的な困窮で心にゆとりを持つこともできず、家族崩壊に至ることも少なくないといえるでしょう。
少しの時間だけ介護から離れたいと思っても、お金がなくデイサービスなどの利用もできなければ、気晴らしすることができない状態で介護することになってしまいます。
心身が疲弊する
介護に対する負担の大きさから、心身が疲弊し家族内で不和が生じ、家族崩壊してしまうこともあります。
たとえば認知症の方の介護では、徘徊や暴力などの症状が見られることもあり、興奮して手がつけられなくなるといった状態でより心身がつかれてしまいます。
対応に苦慮する家族の心身の負担は計り知れないものといえますが、夜中に何回も起こされるだけでなく、終わりが見えないことに疲れ切ってしまうこともあるようです。
家族間の介護負担に偏りがある
家族の介護を一人が行っているなど、負担が集中していれば家族崩壊を招きやすくなります。
たとえば親の介護の場合、長男やその配偶者などが行うことが多く、なぜ自分だけが負担を強いられるのかと不満を持ってしまう傾向が見られます。
兄弟姉妹などに代わってもらえるように頼んでも、育児や仕事などを理由に断られてしまい、さらに不公平感を募らせてしまうようです。
直接的な介護を行わない代わりに、金銭的な援助を求めても拒否されれば、より不満は大きくなってしまいます。
親の介護などは、兄弟姉妹などが役割を分担し、誰か一人の負担が大きくならないように配慮することも、家族崩壊を防ぐために重要といえるでしょう。
本人のできることまで奪わないことが大切
介護を必要とする方がたとえば親だった場合、これまでと違った姿を見てしまうと、心を痛めてしまう方なども少なくないでしょう。
そして危なっかしいと感じることや、自分が代わりにすれば済むと考えることで、なんでも本人に代わってしてしまうケースもめずらしくありません。
しかし、介護を必要とする方ができることまで奪ってしまうと、さらに何もできなくなってしまいます。
仮に時間がかかることでも、心身の機能を衰えさせないために、できることは本人にしてもらうことが必要です。
残された機能を使いながら、自分の力でできるサポートをすることで、介護者の負担も軽減させることにつながります。
終わりのない介護を続けるためにも家族ができることの見極めが重要
介護を必要とする方と一緒に住んでいる場合などは特に、介護が生活の一部となって冷静に関わることが難しくなることもあるでしょう。
家事と同じように、始まれれば終わりがなく、どのくらい時間があっても足らないと感じてしまうものです。
しかし無理にすべてを負うのではなく、できる範囲で負担するようにし、介護サービスなどをうまく活用しながら介護から少し離れ心を緩める方法などを持っておくことも大切といえます。