介護業界で新たに働くことを検討している方や転職を希望する方の多くは、
「介護業界は人手不足で仕事がハード」
「ハードな仕事に見合う給料ではない」
といったネガティブな印象から、なかなか一歩が踏み出せないといったこともあるようです。
しかし介護業界は成長産業といわれており、将来性が高い職種として期待されています。
そこで、介護業界の可能性や将来性について紹介するため、介護の仕事に興味がある方や転職希望する方などは参考にしてください。
日本の成長産業といわれる介護業界
日本は少子高齢化が進んでいるといわれていますが、実際、2010年をピークに日本の人口は減少傾向に転じたにもかかわらず75歳以上の高齢者数は急速に増加しています。
2010年時点の75歳以上の人口は、2025年にはその1.5倍にまで増え、日本の人口が2010年の3分の2近くまで減少する2060年にも75歳以上の高齢者数は増え続けると予想されているのが現状です。
75歳以上の高齢者が増えるということは、介護サービスを利用したい方も増加することを意味するため、介護業界は成長産業で将来性が高い業界と考えることができるでしょう。
経験がなくてもキャリアアップを目指すことのできる業界
介護職は実はキャリアアップしやすいことが大きなメリットです。
働く年数などで受験資格が付与されるため、公的資格や国家資格を取得すればそのキャリアを証明することができます。
また、資格を取得すれば資格手当が賃金に上乗せされる施設も少なくないため、仕事の幅を広げることや賃金向上を目的としたキャリアアップを目指すことも可能です。
介護スキルや人間力が備わっている介護職は、社会から需要も高いといえます。
年齢・性別・学歴・経歴に関係なく、たとえ未経験だとしても努力次第で上を目指すことのできる業界であり、将来性にあふれた職業と考えられます。
・未経験者がキャリアアップする流れ
何の資格も持たずに介護施設で働きはじめた場合、実際に介護現場で働きながら「介護職員初任者研修」を受けます。
修了試験に合格すると、利用者の身体介護が可能となるため、まずはこの介護職員初任者研修が最初の一歩といえるでしょう。
その後、実務経験を3年以上積み、介護職員初任者研修の応用資格ともいえる「介護職員実務者研修」を受けます。
介護職員実務者研修を取得すれば、やっと「介護福祉士」の試験を受ける資格を得ることができるという流れです。
・介護福祉士を取得すれば介護のプロとして認められる
介護福祉士の国家資格を取得していれば、介護のプロとして認められます。
資格手当など、正社員として働くときの給料や、パート勤務するときの時給も優遇されやすいため、介護現場で働くのなら介護福祉士を目指しましょう。
また、介護のプロとして自信もつくため、管理職として働きたい方は取得しておきたい資格といえます。
・介護福祉士の先のキャリアアップ
介護現場の資格は介護福祉士が最終ではなく、介護福祉士取得後に「介護支援専門員」を資格して、ケアマネジャーとして利用者のケアプラン作成に携わるケースも少なくありません。
ケアマネジャーは、実際に利用者の介護を行う仕事ではありませんが、適切な介護サービスを提供する上で必要な資格です。
また、「社会福祉士」などの資格を取得し、生活相談員やソーシャルワーカーとして活躍する方もいます。
政府が進める介護職員の処遇改善でより働きやすさが拡大
介護職は賃金が低いというイメージが先行していますが、確かに他業種平均と比較しても高いとはいえません。
ただし驚くほど賃金が低いわけではなく、他業種よりも介護職の勤続年数が少ないことも関係しているといえるでしょう。
また、介護職として働く方はパート勤務する方も多いことも背景にあるといえます。
賃金が低いイメージを払拭するためにも、介護職が長く働きキャリアをアップさせ、同時に賃金も安定して高い水準で受け取ることができるような環境整備が求められます。
また、パート勤務という雇用形態ではなく、正社員として働くことのできる労働条件の整備なども必要となるでしょう。
政府も介護職の処遇改善策を複数投じ、介護保険にも「処遇改善加算」で従業員の処遇改善した介護事業所に対し介護報酬を多く得ることができる仕組みを作っています。
人材不足解消と介護スタッフの労働負担軽減に向けて、介護ロボット導入や現場のIT化に力を入れる介護施設も出てきました。
介護職の働き方を支え、介護施設で暮らす利用者の安全で健全な介護サービス提供が維持できるような、国全体の取り組みや支援が必要といえます。
取り組みは今後も進化すると考えられますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、コロナ倒産してしまった介護施設があるのも事実です。
それらを踏まえた上で、今後、将来性が期待される介護業界だからこそ、改善させなければならない点に目を向け対策を講じていくことが必要といえます。