介護現場で「AI」が活用されることが増えたといえますが、今現場ではどのような状況になっているのか、今後、導入する上での課題は何なのでしょう。
慢性的な人材不足を打破するための方法として、人工知能の技術を活用したAIを導入する動きは、介護業界に限ったことではありません。
特に介護業界ではロボットなどの導入が進められていますが、国も介護現場へのAI導入には積極的な姿勢です。
そこで、介護業界のAI活用や介護ロボットの導入は何のために必要なのか、今後の課題などについて解説していきます。
AI(人工知能)とは?
「AI」とは「アーティフィシャル・インテリジェンス(Artificial Intelligence)」の頭文字を取って省略した呼び方であり、「人工的な(Artificial)」と「知能・知性(Intelligence)」の意味を合わせた言葉です。
人工的に作られたコンピューターのことを「人工知能」と解釈されることが多く、機械でも学習能力や深層学習などが備わっているため、自動的に情報を入手・分析・判断することができます。
介護ロボットはなぜ注目されているのか
日本は少子高齢化が進んでいるため、介護業界だけでなく人手不足の業界ではAIへの注目が高まっていますが、特に介護業界ではその動きが顕著にあらわれています。
業務効率化を図るため、様々な分野で人工知能が活躍していくことが期待される中、すでにAIを導入しているケースなども見られます。
「介護ロボット」は「介護支援ロボット」や「介護福祉ロボット」と呼ばれることもあり、介護を必要とする方をサポートするだけでなく、介護を行う方の身体にかかる負担も軽減できることが特徴です。
国も介護ロボットの導入には積極的な姿勢を見せており、経済産業省や厚生労働省などは「ロボット技術の介護利用に置ける重点分野」を策定して介護ロボット開発への支援を行っています。
ロボットを製造するメーカーに対する支援だけでなく、ロボットを導入することへの補助金制度なども設けることで、より介護現場へのAIや介護ロボット導入は促進されているといえるでしょう。
国も介護現場のAI利用には積極的な姿勢
国は自立支援に向けたAI推進への方針も打ち出していますが、中核を担う厚生労働省はAIによるケアプラン作成支援を実用化させることや、介護ロボットを開発することへの支援に注力しています。
人手不足の介護現場では、
- 移乗支援
- 排泄支援
- 入浴支援
- 見守りやコミュニケーション
などのケアへの対応が困難な状況になっているため、これらの人的負担がかかる分野で介護ロボットが活用されるような開発が進められています。
・移乗支援
移乗を支援する介護ロボットには、
- 装着型
- 非装着型
があります。
介護をする方のパワーアシスト機能を備えており、利用することで身体的負担を軽減させることができます。
・移動介助
移動を介助する介護ロボットには屋外型・屋内型の2種類があり、屋外型では主に要介護者が外出するときの歩行をサポートします。
屋内型では屋内で移動するときのサポートを行うため、ベッドやトイレから立ち上がるときや、移動するときの歩行も助けてくれるなど歩行補助具と併用して使えます。
・入浴介助
要介護者が入浴するために浴槽に出入りすることのサポートを行う介護ロボットです。
・見守り補助
要介護者がベッドから離れたときなど、センサーがその情報を察知し伝えてくれるシステムが備わった介護ロボットです。
・排泄アシスト
設置場所で調整・移動が簡単にできる他、便座に座って排泄するときに排泄物の処理を適切に行うことをサポートしてくれます。
導入の見通しが立たない現場の課題
このように様々な介護ロボットの開発が進んでいるものの、実際には介護ロボットの積極導入の見通しが立っていないといえます。
普及されにくい理由として、現在の介護ロボットは単一作業がメインとなることが挙げられます。
また、ロボット自体の単価が高いため、設備投資に費用をかけにくい介護事業所などは導入が進みません。
長きに渡り介護業界に携わっている介護事業者の中には、人命に関わる業務をロボットに任せてよいのか、といった葛藤もあるようです。
・費用をかけても業務効率化に繋がりにくい可能性がある
AIが介護現場に導入されるようになれば、実際に業務が効率化されると考えていたものの、それほど変わらなかったという例もあるようです。
実際に導入したものの、操作方法がわからないというケースもあれば、どこまでロボットに任せてよいかわからないといったケースなども見られます。
ロボットに任せてよいか、信頼してよいのかといった不安により、結局人の手でケアを続けてしまうといった事業所などもあるようです。
また、要介護者も、ケアはロボットではなく人のほうがよいという場合もあるため、現場や利用者の声などを反映させた上で、AIや介護ロボットの導入を検討していくことが必要と考えられます。