介護サービスは、要支援や要介護の段階によって利用できる内容や上限が異なります。
そもそも介護保険制度の利用には「要介護認定」を受けることが必要ですが、どの程度介護を必要とするのか、その段階に応じて非該当(自立)・要支援1〜2・要介護1〜5のいずれかで判定されます。
そこで、要介護認定度では段階ごとにどれに認定されることになるのか、その内容について説明していきます。
心身の状態などにより8段階の要介護認定への振り分け
要介護認定とは、客観的に介護の度合いを判断し数値化したものであり、日常生活においてどの程度の支援が必要になるかによって分かれます。
要介護度は介護の必要性によって8つの段階に分けられますが、主に次のような分類となります。
- 介護保険サービスを利用する必要がない…非該当(自立)
- 介護予防サービスが必要…要支援
- 介護サービスが必要…要介護
身体機能・生活機能・認知機能・社会生活適応力などを調査した結果と、主治医の意見書などをもとに判断・決定されます。
どの認定結果になるかにより、利用できるサービスや支給される限度額なども変わるため、それぞれの段階がどのような状態なのか確認しておきましょう。
2段階の要支援認定
要介護認定では、介護サービスを利用するほどではないものの、介護予防のためのサービスを利用できる「要支援」へ認定されることもあります。
この要支援の認定は2段階に分かれていますが、段階ごとの定義は次の通りです。
・要支援1
食事・入浴・歩行など、日常生活はほとんど自らで対応できるものの、掃除・食事の準備など部分的にサポートが必要な状態です。
・要支援2
立ち上がりや歩行などの運動機能に若干の低下が見られ、日常生活を送る上でも一部にサポートや見守りを必要とする状態です。
5段階の要介護認定
介護ケアが必要と判断される状態であれば「要介護」の認定を受けることができますが、要介護の認定は5段階に分かれています。
段階ごとの定義は主に次の通りになっています。
・要介護1
自力で立ち上がったり歩いたりという運動機能に不安があり、排せつや入浴のときには一部サポートや見守りが必要な状態です。
・要介護2
自力で立ち上がったり歩いたりといった運動能力が低下しており、排せつや入浴などの動作の一部またはすべてにサポートを必要とする状態です。
・要介護3
自力で立ち上がったり歩いたりすることは難しく、日常生活の動作のうち排せつ・入浴・衣服の着脱などにおいて全面的にサポートが必要とする状態です。認知症の方の場合、日常生活に影響がみられる状態を指します。
・要介護4
自力で立ち上がったり歩いたりすることがほとんどできず、食事などの日常生活の全般でサポートを必要とする状態です。コミュニケーションも理解力低下などで意思疎通がやや困難な状態を指します。
・要介護5
日常生活全般でサポートを必要とする状態で、理解力低下が進んでおり意思疎通が困難な状態です。
要介護認定を受けるまでの3段階
要介護状態や要支援状態であると判断されたときには、介護保険サービスを利用することが可能です。
要介護認定を受けることで、現在の状態がどの段階に該当するか確認できます。
要介護認定を受けるまでの流れは大きく分けて、
- 申請
- 認定調査
- 結果通知
の3段階です。
申請から結果が通知されるまでは約1か月かかるため、サポートが必要と感じたら早めに手続きしたほうが安心です。
・要介護認定の基準
要介護認定の基準は、
「対象となる方に対する介護はどれくらいの手間がかかるか」
といった観点で決められます。
「介護の手間」を時間に換算し、評価したのが「要介護認定等基準時間」です。
次の5つに分類される介護にかかる時間が「要介護認定等基準時間」で、「要介護認定等基準時間」の長さに応じて要介護度が段階ごとに分けられます。
- 直接的生活介助…入浴・排泄・食事などの介護
- 間接的介助…洗濯・掃除など家事援助
- 問題行動関連行為…徘徊に対する探索・不潔な行為に対する後始末など
- 機能訓練関連行為…歩行訓練・日常生活訓練など機能訓練
- 医療関連行為…輸液の管理・上則の処置など診療補助
- 要支援 要介護認定等基準時間が25分以上32分未満またはこれに相当する状態
- 要介護1 要介護認定等基準時間が32分以上50分未満またはこれに相当する状態
- 要介護2 要介護認定等基準時間が50分以上70分未満またはこれに相当する状態
- 要介護3 要介護認定等基準時間が70分以上90分未満またはこれに相当する状態
- 要介護4 要介護認定等基準時間が90分以上110分未満またはこれに相当する状態
- 要介護5 要介護認定等基準時間が100分以上またはこれに相当する状態
・要支援2から要介護1へ段階が上がる目安
「要支援2」と「要介護1」は、認定段階でみれば1段階の違いですが、利用できるサービスが大きく異なります。
そこでこの2つの基準の境目を把握しておきたいところですが、目安となる基準は大きく分けると次の2つです。この2つのいずれかに該当するときには、「要介護1」と判断されることになるでしょう。
- 認知症の有無…思考力・理解力に支障をきたし始めたときには要介護1へ分類されることになります。
- 状態の安定性…かかりつけ医師の判断により、今後状態が大きく変化する可能性があると判断されるときには要介護1に分けられます。