いろいろな業界がデジタル化を進めていますが、介護業界も最新のテクノロジーの採用が求められています。
厚生労働省でも介護現場のICT化を進めるなど、これまで紙媒体を使った業務からデジタル媒体へ移行する動きを強めているようです。
介護現場のインフラにテクノロジーを導入することによって、行政に提出しなければならない書類作成なども従来よりも短縮させることができます。
その結果、介護職員がサービス提供に専念しやすい環境を作ることができるでしょう。
テクノロジーを採用すればサービスの質も向上する
介護現場でテクノロジーを採用するといっても、どの部分に用いるのかピンとこない方もいることでしょう。
たとえば介護施設などは入所している利用者の数も多く、様々な個人情報を取り扱うことになります。
そこで、テクノロジーを採用することによりビッグデータを蓄積すれば、適切な管理とエビデンスに基づく介護サービス提供が可能となるでしょう。
データ連携で業務効率化アップ
介護施設で扱う情報のやり取りは、従来までの紙媒体やFAXなどの利用ではなく、ICTなど活用しデータを連携していきましょう。
厚生労働省委託事業でも、居宅介護支援事業所と訪問介護事業所などがケアプランの情報連携が可能となるよう、フォーマットを標準仕様として定めています。それにより、介護事業者ごとに使用する介護ソフトが違っていてもデータを連携できます。
テクノロジー採用でテレワーク導入も可能に
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、近年ではリモートワークやテレワークが推奨されています。
しかし現場で利用者と接することが仕事である介護施設では、テレワークを導入することに意味はあるのかと考えがちです。
ただ、介護現場でのすべての業務をテレワークで対応できなくても、利用者と接触する必要のない仕事なら、オンラインツールなどで対応できます。
日々の掃除や料理などの生活支援、食事・入浴・排せつなどの身体介護はテレワークで対応できません。
しかし次の業務などはテレワークで十分に対応できると考えられます。
レセプト業務
健康保険の保険者である組合健保や協会けんぽ、市区町村などに介護診療報酬を請求するレセプト業務は、在宅やサテライトオフィスなどを利用しテレワークで対応できます。
会議や研修
介護現場での事故防止や業務改善を目的とした会議の他、介護職員同士の打ち合わせなどはWEB会議ツールなどを使用することでテレワーク対応が可能となります。
介護計画書の作成業務
介護計画書や個別援助計画書など、利用者に提供するサービスの計画書を作成するときもテレワークを利用した対応が可能と考えられます。
介護記録や報告書の作成業務
現場での業務やその記録、利用状況の報告書などを作成するときにもテレワークによる対応が可能となるでしょう。
その他事務手続など
その他にも、テレワークで対応できる業務には次のような事務手続や作業が挙げられます。
- スタッフの勤怠管理
- 利用者の予約管理
- 経理業務
- 電話受付
- 備品管理や発注業務
管理職の管理業務やマネジメント業務などにもテレワークで十分対応できるものがありますし、利用者との面談や相談援助業務、家族との連絡調整などもインターネットを使った対応が可能です。
介護現場にテクノロジーを導入する上で利用できる支援や制度
介護業界は慢性的な人材不足に悩まされている業界のため、人手不足を解消する上でもデジタル化や最新のテクノロジーの導入は必要と考えられています。
そこで、厚生労働省でも介護現場がデジタル化に向けて取り組みしやすいように、ICT導入に対する支援などを行っています。
ICT導入支援事業
地域医療介護総合確保基金によって、
- 記録業務
- 情報共有業務
- 請求業務
などが一気通貫で可能となるように介護ソフトやタブレット端末導入を支援しています。
ICT補助金
ICT補助金は、1事業所あたり2分の1以内で、下記を上限に補助金が支給されます。
- 職員1~10人…100万円
- 職員11~20人…160万円
- 職員21~30人…200万円
- 職員31人以上…260万円
なお、都道府県により申請開始の有無は異なるため事前に確認しておくことが必要です。
対象となるのは、
- タブレット端末・スマートフォンなどハードウェア
- ソフトウェア
- ネットワーク機器(Wi-Fiルーターなど、Wi-Fi環境を整備するため必要となる機器を含む)
などの購入費用や設置費用です。
ICT活用の参考資料提供
平成28年度の厚生労働省委託事業で作成された「居宅サービス事業所におけるICT 機器・ソフトウェア導入に関する手引き」を活用すると、居宅サービス事業所でICTを導入するときに便利です。
情報連携に関する安全管理に向けた情報提供
介護事業所でも「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」など、ガイドライン遵守が原則とされています。
そこで、介護現場で介護事業者が実施していく必要のある対策やポイントなどを取りまとめた「介護事業所における介護情報の連携に関する安全管理について」を公表し、適切な安全管理が可能となるよう情報を提供しています。