コラム

介護・医療分野でヘルスケアサポートを実現させるために必要なこと

新型コロナウイルス感染拡大の出口はいまだ見えない状況であり、介護や医療分野のヘルスケアシステムの見直しや修正が求められています。

 

現在、日本では国民皆保険制度で介護や医療を必要とする方に各サービスが提供されるようになっていますが、少子高齢化や人手不足の深刻化により今後は厳しい状況となることが想定されます。

 

そこで高齢化が進む日本では、介護・医療分野におけるヘルスケアについて、どのような構築が必要となるのか考えてみましょう。

 

増大する社会保障費が問題

少子高齢化が進んでいる日本では社会保障費の増大が大きな課題となっていますが、負担を抑えるには根本的に病気を予防する健康増進が求められます。

 

ただ、健康増進を促進する具体的な施策はなく、国民一人ひとりが日常生活において生活習慣を見直し栄養管理や適度な運動を行うなど取り組む必要があります。

 

とはいえ病気になったときに治療を受けるほど熱心に健康維持に取り組むことができる人は少ないため、健康の維持や増進のための行為や健康管理を行うヘルスケアという領域に、介護・医療分野が拡張していく必要があるといえるでしょう。

 

医療・介護制度では限界がある?

公的資金が投入される医療・介護事業は、税金が使われるため許認可事業となっており、緊急性が高くなければ利用できないと考えられています。

 

そのためヘルスケア事業など予防をメインとするビジネスは医療・介護制度の対象ではなく、営利目的の民間事業者が行うしかありません。

 

医療費抑制策として特定健診や健康保険組合による保健指導・健康維持活動も進められているものの、適度な運動を勧められたり食事を見直す指導をされたりという程度で、医学的知見を踏まえた運動方法や栄養管理など具体的な取り組みにはつながっていないのが現状です。

 

高齢者の健康志向も高まっているため、自主的にウォーキングをする方やスポーツジムを利用する方は増えつつあるものの、健康維持活動での医療・介護の知見は十分に活かされず、過度な運動により体調不良となる問題なども起きてしまいます。

 

国も自発的な健康維持活動に向け、ヘルスケアポイントなど試行し、健康診断や運動の取り組みを健康食品に交換可能とする制度も設けています。

 

しかし動機付けにつながっているとはいえず、専門家によるサポートが拡大されることが必要といえるでしょう。

 

具体的にどのようなサポートが必要か

専門家によるサポートとして考えられるのは、たとえば病院のリハビリ室で身体に合った運動メニューを医師や理学療法士などに指導してもらい、さらに民間のスポーツジムのプログラムとも連携されるような仕組みがあると自己負担でも利用するニーズは見込まれるでしょう、

 

 

保健制度では予防に対する支援は受けにくい

繰り返しますが日本は少子高齢化が進んでいるため、今後は人口も減少していくとされています。

 

その中で健康寿命を延ばして人的資源を補うことができれば、元気な高齢者を増やし社会に活力をもたらすことにつながります。

 

現在の介護・医療分野での施策は、主に保険制度を通じた病気治療をメインとしており、予防に対する支援は受けにくい状況です。

 

健康やスポーツなどの産業分野での施策は限定されており、個人の趣味活動という捉え方なので、全額自己負担でサービスを利用しなければなりません。

 

さらに介護・医療分野での民間事業は、保険制度の枠組みを超えて健康促進やスポーツ振興などの領域まで踏み込むことに消極的です。

 

今後は専門家が予防や健康増進への分野に積極的に参画できるマーケットが構築され、個人消費やニーズに対応できる施策や仕組みができることが必要と考えられるでしょう。

 

ヘルスケア分野の専門家が最新技術を活用し支援する仕組みが必要

退職した後も仕事を続け、可能な限り社会ともつながり生きていくといった人生100年時代はすでに始まっています。

 

労働の対価を受け取ることで、趣味活動や生きがいにお金をかけることができるようになり、安定した老後生活を送ることにつながるでしょう。

 

そのため高齢者が生きがいを持ち楽しく生活していくことができるように、ヘルスケア分野の専門家がAIやICTなどの最新技術を活用しながら支援できる枠組みが求められます。

 

抱える病気や投薬の記録以外にも、地域社会への貢献や趣味・生きがいといったデータを組み込みながら、高齢者が自分らしく地域社会と協働し生活できる世の中となることが理想といえます。

 

現在は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、健康増進に取り組みたくても外出できず、自宅にこもりがちの高齢者も増えつつあります。

 

ただ、病気を他人事でなく自らの問題として捉える機会となったのは事実であり、健康であることがいかに大切なのか再確認するきっかけになったといえるでしょう。

 

健康に対する知識を国民一人ひとりが身につけ、日々の生活に取り入れることができるようにすることが必要です。

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