新型コロナウイルス感染拡大が収まらない状況ですが、厚生労働省では介護サービス事業所・施設等に勤務する職員に対し慰労金などの支給制度を設けています。
そこで、「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業」の1つである介護現場で働く職員に対する慰労金について、その内容をお伝えします。
また、自宅で要介護4や5の認定を受けた重度といえる要介護レベルの方を介護している家族の心身や経済の負担は計り知れないものがありますが、その家族に対する慰労金などもあります。
こちらは新型コロナウイルス感染拡大に関係なく、自治体が支給している慰労金ですのでどのような内容か確認しておき、もし対象となるのなら申請するとよいでしょう。
介護現場で働く職員に対する慰労金
介護サービスは、高齢者の健康維持だけでなく、その家族の生活を支えるためにも必要不可欠といえますが、新型コロナウイルスに感染したときに重症化するリスクが高い高齢者への接触を伴うサービスを適切に提供できる体制づくりが必要です。
介護施設でも最大限の感染症対策を継続して行っているところでしょうが、必要な物資を確保しながら徹底した感染症対策には様々な費用負担も発生します。
介護現場で働く職員の負担も重くなることから、新型コロナウイルスの感染防止対策を講じ介護サービスの継続に努めるための慰労金が国から支給されています。
慰労金が支給される理由とその目的
介護サービス事業所や介護施設などで働いている職員は、介護サービスを提供するにあたり、感染すると重症化してしまうリスクの高い高齢者と接触を伴うことになります。
さらに介護サービスは継続して提供しつづけなければならない業務です。
介護施設や介護事業所での集団感染の発生状況を踏まえても、心身に相当程度負担がかかる中で使命感を強く持ち、業務に従事しなければなりません。
そこで、国も介護現場で働く職員に対する感謝とねぎらいの意味を込め、慰労金を給付することとしています。
慰労金の対象となる職員とは?
今回の慰労金で給付対象となる職員とは、
・介護サービス事業所や介護施設などに勤務し利用者と接する職員(介護予防・生活支援サービス事業の事業者で、緊急事態宣言発令中に市町村からの要請を受け業務を継続していた事業所も対象)
・介護サービス事業所や介護施設などで通算10日以上勤務した職員(介護サービス事業所や介護施設などにおいて勤務した日が、新型コロナウイルス感染症患者第1例目発生日である令和2年2月 14 日より令和2年6月 30 日までの間に延べ 10 日間以上であることと。年次有給休暇・育休など実質勤務していない日は勤務日に参入しない)
・利用者との接触を伴い継続して提供することが必要な業務の状況下で働いている職員
なお、慰労金給付は医療機関や障害福祉施設などで働く方への慰労金を含め、1人1回までとなっています。
慰労金の申請は締め切りされていますが、まだ新型コロナウイルス感染拡大が続いているため、今後も同様の制度が設けられないとも限りませんので、最新情報には注意しておきましょう。
なお、すでに申請を済ませている場合で、慰労金などを概算払いで交付されているのなら実績報告が必要です。
原則、事業完了日から起算して1月以内か、令和3年3月31日のどちらか早い日までに提出しなければなりませんが、事業実施状況報告書を提出すれば令和3年4月30日まで延長できます。
実績報告書を提出しないまま放置していると、交付決定の取消や交付金全額返還される可能性もあるため注意してください。
在宅で重度の要介護者を介護する家族に対する慰労金
在宅で重度の要介護高齢者を介護する家族の身体・精神・経済的な負担を軽減させるために、そして介護を受ける要介護高齢者の在宅生活の継続・向上を図ることを目的として支給されているのが家族介護慰労金です。
支給対象者の要件
要介護4または要介護5の要介護認定を受けている高齢者を、継続して在宅で介護している同居の家族が対象です。
支給申請前日までの1年間において、原則、介護サービスを利用していないことが必要となります。なお、3か月以上長期入院していた場合にはこの期間を除く在宅での1年間で判断します。
本人を含め、同居の世帯員全員がその年度の住民税が非課税の世帯であることも要件として含まれます。
自宅で1年以上居住している介護保険認定が要介護4または5の方で、その状態が1年以上続いておりその期間中、介護保険サービス(7日以内のショートステイ利用は除く)を受けていなければ対象になるといえます。
支給される金額
支給されるのは1人あたり10万円であり、受付窓口は地域によって異なりますので市区町村で確認してみることをおすすめします。
介護保険料を滞納していて、処分など受けていると支給されませんので注意してください。