コラム

デジタル庁設置で介護分野もデジタル化が一気に進んでいく?

2021年9月には「デジタル庁」設置により、国や都道府県など自治体が一体となり、行政デジタルプラットフォームの構築が進んでいくことが予測されます。

 

デジタル改革の対象として介護領域も含まれているため、介護現場では事務手続きの軽減化や生産性向上など期待は高まっているといえます。

 

ただ、IT化による行政手続きの高度化や合理化についていくことが必要となりますが、実際にどのような対応に変化していくことになるでしょう。

 

国もデジタル化を進めている

国もデジタル化に向け、動きを強く推し進めながら改革のスピードを高めていこうとしています。

 

そこで介護分野でも、紙媒体の事務作業をできるだけ少なくするために、指定申請・報酬請求の電子化や手続きをWEB上で可能とするシステムが構築されるなど求められています。

 

国のデジタル改革で、介護分野においてどのくらいAI・ICT・loTが導入されていくのか注目しておきたいところといえるでしょう。

 

介護分野の人手不足がデジタル活用につながっている

そもそも介護分野は人手が不足している業界であり、限られた人材が多くの業務や役割を担っている状態です。

 

早急にデジタル活用が求められている理由には、この介護分野の極度の人材不足が関係するといえるでしょう。

 

介護職員への需要は今後さらに高まるばかりと考えられますが、第一次ベビーブームのころに生まれた団塊の世代が75歳の後期高齢者になる2025年には、50~60万人の介護人材が不足すると推測されています。

 

すでに介護現場は人材不足で現場がまわらないという声が強まっているのに、今後さらに人手不足が深刻化すると考えられます。

 

人手が足らない状況の中、介護現場の職員が毎日の業務を進めていくためには、作業効率や生産性を高めていくことが必要です。

 

そのためにもデジタル化は欠かせない取り組みであるといえるでしょう。

 

 

AIやロボットの導入で現場の負担が軽減される可能性

介護分野のデジタル化が進んでいく上で、具体的に介護ロボットが活躍することが期待されます。

 

「ロボット」と耳にすると、二足歩行のぎこちない動きをする機械というイメージを思い浮かべる方が多いでしょうが、実際には幅広い機器を指しています。

 

そもそもロボットとは、情報を感知する「センサー系」の他、物事を判断する「知能・制御系」、動作を伴う「駆動系」など要素ごとに知能化された機械・システムのことです。

 

介護現場で活躍することが期待されるロボットは、利用者の自立支援だけでなく介護者の負担軽減に役立つための介護機器であり、厚生労働省と経済産業省もロボット技術の介護利用に重点を置き開発を支援しています。

 

そしてその対象となるのは次の機器などです。

 

・移乗介助(介助者のパワーアシストを行う機器)

・移動支援(歩行支援機器や装着型の移動支援機器)

・排泄支援(設置位置を調整できるトイレや、排泄を予測しトイレに誘導する機器など)

・見守りやコミュニケーション(センサーや外部通信機能を備えた機器の他、在宅介護で使う転倒検知センサーを備えた機器、高齢者とコミュニケーションを取ることを可能とする生活支援機器)

・入浴支援(浴槽の出入り動作を支援する機器)

・介護業務支援(介護業務に伴う情報収集・蓄積により支援に活用できる機器)

 

デジタル改革やデジタル化が進んでいくことにより、いずれは介護現場にロボットが当たり前のように存在するようになるでしょう。

 

その結果、介護職員の負担を低減させるだけでなく、生産性を向上させることも期待できます。

 

デジタル化により紙媒体での手続きをなくす

そしてデジタル化により、介護現場ではペーパーレス化も進んでいくことになるでしょう。

 

制度改正で作成しなければならない書類も変更されたり追加されたりしていますが、書類の書式は自治体ごとに異なるケースも少なくありません。

 

介護職員の介護記録業務も負担は重く、書類作成は手間や時間のかかる作業といえるでしょう。

 

今後、デジタル化が進み紙媒体での書類作成などがなくなれば、作業に伴う負担は軽減されるはずです。

 

厚生労働省でもペーパーレス化を進めるため既存の「情報公表システム」も改修するとしており、事業所の指定の更新・変更などの手続きもオンライン上で可能となるでしょう。

 

システムは遅くても2022年には運用可能となる予定のため、大幅にペーパーワークが低減されることが期待されます。

 

また、介護報酬の請求もオンライン申請が可能になるなど、より便利なシステムが導入されるようになるでしょう。

 

現場で介護ロボット導入が進むように

厚生労働省はすでに2013年から「介護ロボットの実用化に関する相談窓口」を開設しており、開発や活用方法に関しての相談を受け付けています。

 

介護事業者向けの相談窓口では、介護現場から各種相談対応だけでなく介護ロボット体験・展示・試用貸出・研修会なども行っているようです。

 

国も介護ロボットが現場に普及されるように、様々な取り組みを行っているため、介護現場でもロボット導入を進めていくことが求められます。

 

今後はロボット導入にかかる費用の助成金をさらに充実させるなど、現実的な施策が出されることに期待したいといえます。

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