歩行に不安を抱える方が生活において行動範囲を広げたいときや、介護を必要とする方が身体機能の維持や回復に役立てるため、用いられる介護用品に室内用歩行器などが挙げられます。
だんだん歩くことに不安を感じてきたという方の場合、歩行を補助する福祉用具や介護用品を使うとよいですが、中でも歩行補助用具には機能や種類が多種多様にあります。
ピックアップ型のものなどは介護現場でも活用されていますが、利用者に合うものを選ぶことが重要です。
そこで、どのような歩行を補助するための福祉用具や介護用品の種類やそれぞれの特徴を説明していきます。
外出時の歩行が不安な場合は「杖」が便利
室内での生活においては自立した状態でも、外出する時には不安を感じるという方の場合、杖を使うことによってバランスを保ち安定した歩行を確保することができます。
一本杖や先端が複数に分かれている多点杖など種類がありますが、足が痛む場合には逆側の健康な手で持つようにすることが大切です。
三点歩行の場合には、杖を先に出して次に痛みを感じる側の足を出し、最後に健康な足を出すという歩き方であり、2点で体を支えるので安定した歩行が可能となります。
二点歩行の場合には、杖と痛みを感じる足を同時に出して、次に健康な足を出すという流れです。
適正な杖の長さ
杖を合わせる時には、普段着用している靴を履いてから合わせることが大切です。
直立した状態で腕を垂直に下ろした時、手首の高さにグリップがくるくらいがよいと考えられます。
足の小指の外側15cmくらいの位置に杖をついた場合、肘を30度ほど曲がたくらいで丁度になる高さが理想です。
重い荷物を楽に運ぶには「シルバーカー」
杖で歩行することに不安を感じる方や、買いものなどで荷物が多く持ち運びが大変だと感じる方の場合の場合、シルバーカーを使えば楽に荷物を運ぶことができます。
また、お出かけなどの際、歩行中に疲れたら椅子として使い、座って休憩することも可能です。
屋内で便利なタイプの歩行器
歩行が不安定な状態であり、室内でも安全に移動したいという方に適しているのが歩行器です。
姿勢が安定しているならピックアップ型といわれるウォーカータイプ、姿勢に不安がある方の場合は肘で支持するタイプの歩行器など、身体状態に合わせて選ぶことができます。
ウォーカータイプ(ピックアップ型)
本体を持ち上げ一歩ずつゆっくり歩くことが可能です。足に痛みがあるなど、続けて歩行できない方などに適しています。
ウォーカータイプ(キャスター型)
ピックアップ型と同じ形ですがキャスターがついているため、足に痛みなどなく続けて歩行可能な方に向いています。
前腕支持タイプ
胸の高さまでハンドルがあるタイプは肘を置いて使うことが可能です。そのため握力が弱い方や手首に痛みがある方などに適しており、腰の高さにハンドルが位置するタイプの場合は安定した歩行を維持できない方に向いています。
なお、歩行器にトレイなどがついていて、食事やお茶などを運ぶことができるタイプのものもあります。
屋外用の歩行器なら外出している時も安心
歩行が不安定であるため、外出した時に身体をしっかりと預けることができる安定さが欲しいという方には、屋外用の歩行器が適しています。
身体をハンドルの中に入れる形になるので、安定した歩行を確保することができますし、座面に必要な時に座ることも可能です。
本体の上に買い物かごをのせることができるタイプであれば、大容量バッグが備わっていますので、買い物をたくさんしても便利に利用できます。
また、コンパクトに折りたたみできるタイプであれば、本体自体が軽いのでバスや電車など公共の交通機関を利用する方にも適しています。
さらに手動や電動機能が備わっていて、スピードを調整できるタイプであれば坂道や傾斜などでスピードが加速し転倒してしまうというリスクを防ぐことが可能です。
玄関などの上り下りを補助する福祉用具も
玄関に上がり框(あがりかまち)があり、上り下りの動作によりふらつきなどが出てしまう場合によいのが上がり框用の手すりです。玄関に設置するだけで手すりを構築できるので、上がり框の昇降が容易になります。
さらに手すりでは上がり框の上り下りがつらい場合には、リモコン操作で座面が昇降する段差解消機が便利です。座面が回転するので安全に乗降できます。
屋内での歩行を支えてくれる福祉用具も
膝が痛むことにより、床から立ち上がることが難しいという場合には立ち上がり補助いすを使うことをおすすめします。
立ち上がることができれば自分の足で歩行することが可能という方に適した福祉用具といえるでしょう。
さらにいす式階段昇降リフトであれば、自宅の2階などに階段を使って上ることがつらいという方でも安心です。座面は折りたたみが可能となっているため、場所を取ることもありません。