介護現場で働くのならいつかは「介護福祉士」になりたいと目指す方も少なくありません。介護福祉士の資格を取得するのなら、実務経験によるルート、養成施設を経るルート、福祉系高校からのルートという3種類のルートのうち、どの方法をたどるのか決めることになります。
もし未経験者の方が介護現場で働き、そこから介護福祉士になるのなら実務経験が3年以上必要となる実務経験により取得するルートをたどることとなるでしょう。
そこで、その他のルートについても含め、介護福祉士の資格を取得する上で必要な要件などについてご説明します。
1.実務経験を経て資格を取得するルート
介護施設で働きながら国家試験を受験して資格を取得するルートです。
仕事と直結する資格を取得すれば、専門的な知識と技術、スキルを身につけることもでき、モチベーションを向上させ自信にも繋がります。
また、他のルートよりも費用をかけずに資格を取得できることがメリットといえるでしょう。
実務経験ルートから介護福祉士の資格を取得するなら、介護現場で実務経験と介護職員実務者研修の資格を前もって取得しておくことが必要になります。
必要実務経験は3年以上必要ですので、まったく経験のない状態で仕事をしながら国家試験を受験し、介護福祉士を取得するまで最短でも3年かかると理解しておきましょう。
2.養成施設を経て資格を取得するルート
3種類ある資格取得までのルートの中でも、最も早く介護福祉士になることができる可能性があるルートです。
指定の介護福祉士養成施設を卒業して資格試験を受験することができるルートです。
福祉系大学や社会福祉士養成施設、保育士養成施設のいずれかを卒業しているのなら最短1年、養成施設に通えば受験資格を得ることができますし、普通科高校を卒業した方でも最短2年通えば介護福祉士を受験することができます。
ただし短期大学や専門学校に通うことが必要になるため、費用面と時間面が気になるとは思いますが、選択肢の一つになるかと思います。
2021年度までの卒業生は経過措置が適用
2021年度(2022年3月31日まで)に養成施設を卒業する方に限っては、介護福祉士の試験を受験し、合格しなくても登録・申請することで卒業後5年間は介護福祉士資格取得者とみなされるという経過措置が設けられています。
ただ、経過措置以降も続けて資格を有効にするには、次の条件を満たすことが必要とされます。
- 卒業後5年の間に介護福祉士試験(筆記試験)に合格すること
- 卒業後5年間は続けて介護などの業務を行うこと(従業期間が連続1,825日以上かつ従業日数900日以上)
このような経過措置が設けられている理由は、以前まで指定の介護福祉士養成施設を卒業すれば、介護福祉士資格の取得が可能という制度だったためです。法改正により、2018年1月実施試験からは、卒業後に介護福祉士試験を受験して合格することが必要となっています。
3.福祉系高校を卒業して資格を取得するルート
福祉系高校や福祉系特例高等学校を卒業し、介護福祉士の試験を受験して資格取得を目指すルートです。
福祉系高校を卒業した方であれば、卒業後に筆記試験で合格することで介護福祉士の資格を取得することができます。福祉系特例高等学校を卒業した方は、卒業後に実務経験を9か月以上経過してから筆記と実技の試験に合格することで、介護福祉士の資格を取得することが可能になります。
ただ、介護技術講習を受講していれば、実技試験は免除されます。
今から学校に通う時間はないなら働きながら介護福祉士資格を目指す!
実務経験を経ることで、働きながらでも介護福祉士の資格取得を目指すことは可能です。
費用もかけることなく、仕事をしながらなので収入を得ながら資格取得に向けて勉強ができるので、学習した知識などを現場業務に活かせることもあるでしょう。
介護福祉士になるための経験や期間、日数の要件に注意を
実務経験には、3年以上(1,095日以上)かつ従事日数540日以上、介護などの業務に従事していることと、養成施設などで実務者研修を修了していることが必要です。
従業期間と従事日数のどちらも満たす必要がありますが、試験実施年度の3月31日まで通算することが可能です。
従業期間は、実務経験の対象となる施設や職種での在職期間でカウントしますが、産休、育休、病休などの休職期間も含みます。
従事日数は雇用契約に基づいて実際に介護などの業務に従事した日数ですが、年次有給休暇や特別休暇、出張、研修などで介護業務に従事しなかった日数は除いてください。なお、日数でカウントするので、1日の勤務時間は問われません。
同一期間で複数の事業所などに所属する訪問介護員などの場合、同じ日に複数の事業所で介護などの業務を行ったという場合には、従業期間と従事日数は1日としてカウントします。
また、受験申し込みを行うときに実務経験を満たしていなかったとしても、試験実施年度の3月31日までに従業期間と従事日数が定められた日数以上になる見込みという場合には、実務経験見込みという扱いで受験することが可能です。