コラム

介護現場で重要なプライバシーを侵害しないための排泄介助とは?

介護の現場でも、個人情報保護法により個人の情報開示は制限され、プライバシー侵害に該当しないための適切な配慮が求められます。

 

そこで、介護サービスを提供する上でどのようなことに注意しながら行動するべきなのか、事前にその内容を把握しておくようにしましょう。

 

どこからがプライバシー侵害に該当してしまう?

どのような施設や介護事業所であったとしても、個人情報保護法や利用者のプライバシーに関する項目の倫理規定に沿った介護は必要です。

 

ただ、中にはその規定に該当しないケースなどが出てきた場合、どのように対応するべきか迷うこととなるでしょう。

 

私生活上の事柄を暴露されたり、不安を感じさせるような行為はプライバシー侵害に該当することになりますが、具体的にはたとえば次のようなケースが該当します。

  • 利用者のオムツや着衣を交換する時、ベッド周りに備えられたカーテンを開放したままで行うこと
  • 入浴時に利用者に着衣を着せずにストレッチャーにのせ、身体の一部のみをバスタオルで隠すなどの状態で移動すること
  • トイレに誘導する時にどのような介助を行っているか周囲に聞こえるように声かけを行うこと
  • トイレ介助の際にドアやカーテンがない状態で、廊下などから排泄している姿がみえる状態であること
  • 利用者や家族のことなどを他の利用者に聞こえるようにスタッフ同士で話をすること
  • 利用者の家族が病気になったことや亡くなった場合でも、本人に知らせないでほしいと家族に頼まれていたのにもかかわらず、利用者に口をすべらせ伝えてしまった
  • 他の利用者が認知症や失語症の利用者に話しかけようとしているのに、「話しかけても何も分からないだろうから意味がない」といったことを伝える行為

 

介護福祉士が守らなければならない守秘義務

介護の現場で働く介護福祉士は、業務上、知り得た利用者の個人情報などを他人に漏洩してはならないという守秘義務があります。

 

もし守秘義務違反に違反した場合、介護福祉士法では1年以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられると定められています。

 

悪気はなく他人に伝えたことが守秘義務違反に該当することもありますので、いろいろな利用者の情報を知る職種であることを再認識し、慎重に行動することが求められます。

 

介護レベルが高くなれば私的な領域に踏み込むこととなる

利用者の介護レベルが高くなるほど、スタッフは利用者のプライバシーなど私的な領域に足を踏み込むことになります。

 

その私的な領域の代表として挙げられるのが身体介護で、中でも入浴や排泄という部分は本来であれば人に任せず自分で行いたいと思う部分でしょう。

 

特に排泄については、その場面を見られたくないと感じるのは当たり前の感情ですので、利用者をしっかり配慮した上で介助を行うようにしてください。

 

 

排泄介助を行う上での注意点

誰もが当たり前のように自分でできていた排泄が、高齢になり身体に自由がきかなくなってしまうことで、人の手をかりなければならないのは本人もショックを受けているはずです。

 

そのため、排泄介助を行う際にはそのような気持ちにしっかりと寄り添い、次のような配慮をしながらケアを行うようにしましょう。

 

①利用者の自尊心を傷つけないように

プライベートな部分である排泄に人の手を借りることに誰もが抵抗を感じてしまうものでしょう。

 

もし失敗してしまった時、叱られたりネガティブなことをいわれてしまえば、立ち直れなくなるほど傷ついてしまう可能性もあります。もし失敗してしまった時には、言葉がけに十分配慮してください。

 

②水分を摂ることを控えさせないこと

排泄が自分でうまくできないことを理由に、水分を摂ることを控えようとする利用者もいるようです。

 

しかし、高齢者の場合、必要な水分を体内に蓄える機能も低下しているため、必要な水分を摂取しなければ便秘気味になり、ひどい時には脱水症状や脳梗塞のきっかけになることもあります。

 

そこで、水分が体内に不足することは危険であることを伝え、水分は適度に摂るように勧めましょう。

 

③オムツは最終手段で尿意や便意があるなら自力で

失禁や失敗してしまう回数が増えれば、排泄のサインを認知することが難しいからと、オムツの利用を検討しがちです。

 

しかし、尿意や便意の意思表示ができるのなら、できるだけ自力で排泄できることが望ましいです。オムツの利用は自尊心を傷つけてしまうこともありますし、トイレまでの移動もなくなるため運動量も減少させてしまいます。あくまでも最終手段と考え、できるかぎり自立の排泄を目指すようにしましょう。

 

④決まった時間やタイミングには必ず排泄をする習慣を

日々のスケジュールにおいて、食事後や外出前など、ある決まったタイミングでは必ず排泄をするという習慣化により、だんだんと失敗する回数も減少させることができるかもしれません。

 

⑤プライバシーを侵害しない配慮も

このような排泄介助に加え、プライバシーを侵害しない配慮としては、事前に手順や必要な物品などを確認しておき、できるかぎり陰部を露出する時間は短くしましょう。

 

排泄中はできるだけドアの外で見守るようにし、急かしたり焦らせるような声かけは行わないようにしてください。排泄物の処理もにおいに気を遣いながら手早く行うことが必要です。

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