介護施設では色々なレクリエーションを取り入れるなど活動を広げていますが、そもそもこのレクリエーションを施設で行う理由は何なのでしょう。
そこで、レクリエーションを行う意味についてご説明します。
高齢者が行うレクリエーションとは
レクリエーションを行う目的は、高齢者の生活に笑顔を増やすことです。家族と離れ、施設に入所し生活を続ける高齢者が、孤独やさみしさを感じることなく同じ施設で過ごす方と交流を深めることで、楽しさや喜び、仲間意識を持つことができます。さらに頭や手先を使うことで、健康維持にも繋がるとされています。
レクリエーションの効果
レクリエーションを行うことで、主に次のような効果があるとされています。
身体機能の維持と向上
年老いていくことで身体機能は低下していくものですが、筋力を高めることで老化の進行を抑えることができます。
もう高齢で病気も抱えているからと、運動せずにいれば動かない筋肉や骨はどんどん細くなり、関節も固くなってしまうでしょう。レクリエーションによる適度な運動は、老化を抑える効果が期待できます。
脳を活性化する
筋力だけでなく、頭や手先を使うことは脳を活性化させることに繋がります。認知症を予防したり、すでに認知症を発症している場合でも進行を遅らせるといった効果が期待できるでしょう。
コミュニケーションの機会を増やす
他の利用者やスタッフとのコミュニケーションの機会をもち、日々の生活に刺激を得ることは大切です。レクリエーションがきっかけで趣味や生きがいを持つことにつながったり、気持ちが前向きになれる効果も期待できます。
レクリエーションの内容とは?
実際、施設ではどのようなレクリエーションが行われているのでしょう。施設によってその内容はいろいろですが、目的に応じて行うことも変わってきます。
身体を動かすことを目的としたレクリエーション
運動不足解消のために、身体を使うダンスやゲームなどをレクリエーションとして行うことが多くなります。
利用者の身体機能に合った内容でプログラムが組まれることが多いですが、いずれにしても適度な運動を行うことにより、老化現象の進行を改善したり、寝たきりを防止するといった効果が期待できます。
- 風船を使ったバレーボール
チームに分かれて向かい合って座り、うちわを使って風船をあおぎながら相手チームの床に風船を落としたほうが勝者となるゲームです。
- 紙コップにボールを投げるゲーム
段ボール箱の中に紙コップを並べておき、チームごとに設定された色のボールを紙コップに投げ入れるゲームです。多くコップにボールを入れることができたチームの勝ちとなります。
- パターゴルフやゲートボール
高齢者が楽しめるパターゴルフやゲートボールを施設で行っている場合もあります。
手先を使うレクリエーション
手先を使うことは脳の活性化に繋がります。利用者同士で料理をしたり、編み物や手芸などで小物を作るといったことも実施されています。作る喜びはもちろん、できた喜びを得ることもできるので、達成感や満足感を得ることにも繋がります。
- 手先を使う遊び
折り紙で定番の鶴や動物などから季節に関係したものなどを作ります。
- 作品作り
編み物や手芸、書道、水彩画など、自分が得意とする分野で作品を作ります。
- 料理やお菓子作り
お菓子やパンなどを手作りして、おやつの時間に他の利用者と一緒にいただきます。
頭を使うレクリエーション
クイズやパズルなどのゲームを行い、考える力を養います。認知症予防や進行を遅らせることに繋がる効果が期待できます。
- 頭文字連想ゲーム
50音が書かれたカードのうち1枚だけを引いて、その文字から始まる言葉を書き出していく連想ゲームです。多く言葉を書き出すことができた方の勝ちです。
- 逆文字当てクイズ
上下左右さかさまになった単語を見て、何と書かれているか当てるゲームです。
社会貢献のレクリエーション
地域や家族との交流を深めるために、レクリエーションで作った作品などをバザーで販売することも行われます。
また、地域の幼稚園や保育園の子どもを招き、小さな子と高齢者が触れ合うことのできる機会を設けるなども積極的に行われているようです。
孫に会いたいけれど遠く離れていてなかなか会えない高齢者の心のよりどころとなったり、核家族化が進む日本で高齢者と接する機会の少ない子どもが昔懐かしい遊びを教えてもらえたりと、一石二鳥の効果を得られるでしょう。
高齢者が生きていく楽しみを持つきっかけとなる
レクリエーションは介護を行う施設にとってとても大切なものです。年齢を重ねることでだんだんと思うように身体が動かなくなると、もう自分は何もできないと決めつけてしまう高齢者もいます。
しかし、そのような高齢者に、まだまだ元気でいられることや、できることを見つけてやりがいを感じてもらうことができることは、介護現場でスタッフとして働くことの大きな励みとなるでしょう。
なかにはレクリエーションをきっかけに趣味を持ち、作品作りが生きがいとなって、様々なコンテストやコンクールに入賞する方もいるようです。
高齢者の心身の機能の向上はもちろん、笑顔や生きがい持ってもらえるきっかけとして、レクリエーションを行うことは大切なことといえます。