コミュニケーションとは、気持ちや意見など、言葉などを通じて相手に伝えることです。自分の意思や感情などを伝達することですが、言葉以外のやりとりでもコミュニケーションは可能ですし、やりとりを通す中で何かを共有することにより、始まります。
介護の現場において、利用者の生活を支援する上でコミュニケーションは非常に重要な役割を果たします。
そこで、なぜ介護現場でコミュニケーションが必要なのか、どのように利用者とコミュニケーションを取っていけばよいのか確認しておきましょう。
なぜ介護現場でコミュニケーションが重要?
ほんの少しの言葉が足らなかったという場合や、発信する側と受け取る側の解釈が異なっていた時など、時にコミュニケーションは大きな誤解を生む要因にもなります。
介護現場でコミュニケーションを取る利用者は、高齢であり、さらに視覚や聴覚、言語能力などが低下していることもあるので、伝達が困難という場合もあるでしょう。
また、認知症で意思疎通が難しい場合も考えられます。
そのように、自分の意思や感情などを上手く伝えることができない方が、抱えている痛みや苦しみから解放されるためには、介護職員それぞれがしっかりとコミュニケーション能力を磨くことが求められます。
コミュニケーションは言葉よりもボディランゲージが有効
言葉での意思疎通が難しい場合、声や表情、身ぶり手ぶりなど言語を使わない表現をコミュニケーションの手段として使ってみましょう。
ボディランゲージを行うと、言葉よりも相手にメッセージが伝わりやすいと言われています。
ボディランゲージを行う時のポイントとして、次のようなことが挙げられますので一度自分の行っている表現方法を振り返ってみると良いでしょう。
コミュニケーションを行う時の声の大きさや高さ
高齢の方には低く通る声であれば聞こえやすい傾向が見られますので、大きく、ゆっくりと短い言葉で話すようにしましょう。
早口では急かされているように感じられるかもしれませんし、命令口調では萎縮させてしまう可能性もあります。
耳が遠いからできるだけ大きな声で伝えるようにしていたのに、それがきつめに叱られていると感じられることもあるようなので、耳が遠いけれど視力は低下していない場合は小さめのホワイトボードなどで筆談も併用するなど工夫しましょう。
コミュニケーションを行う時の視線や表情など
もし利用者に声をかけられたら、笑顔で対応できるでしょうか。忙しいことを理由に無表情で対応したり、業務を行いながら相手を見ずに話を聞いていると、自分は拒否されていると感じてしまうかもしれません。
もし忙しく何らかの業務を行っていても、できるだけ手を止めて相手と向き合う姿勢を心掛けましょう。
また、身振り手振りは相手に伝わりやすくなる反面、使い過ぎると相手を威嚇することもあるようなのでその点は注意してください。
苦手な利用者とコミュニケーションで信頼関係を築くために
誰でも合う人と合わない人がいるものですが、もしかしたら介護現場で接する利用者の中にも、自分には合わないと感じたり、苦手だと思う方が出てくるかもしれません。
他の利用者と同じように、平等に誠意を持って支援することが大切だとわかっていても、自分の気持ちは抑えることができない場合もあります。
このような場合、次のようなことにポイントを置いて行動するようにしてみましょう。
苦手な利用者をしっかりと観察してみる
苦手だと思う相手に関心を持って接してみましょう。直接接触しなくても、少し離れて観察してみることが大切です。
そうすると、普段は気難しい方が一生懸命クロスワードパズルを解くことに奮闘していたり、テレビを観ながら野球や相撲を応援していたりと、意外な一面を見つけることもできるかもしれません。
苦手な利用者と自分との共通点はないか探ってみる
意外な一面を見つけることができたら、次に距離を縮めるきっかけとなる共通点はないか探ってみましょう。
例えば出身地や出身大学、趣味やスポーツ、音楽や文学など、何か好きなことや好むことで共通する部分があるかもしれません。
共通の話題が見つかれば話が盛り上がり、苦手意識も和らいでいくでしょう。
苦手な利用者の気持ちを受容すること
自分が辛いと思う時や苦しい時に、その気持ちを理解してくれる人がいれば苦しみや悲しみは軽くなります。
相手の気持ちを受け止めて理解することが、信頼関係を築く第一歩です。もし、高齢の男性の利用者などに、暴言を吐かれたとしても、黙って立ち去らずに、「何かありましたか?」「少しお話しましょう。」と相手の言葉に耳を傾ける姿勢を見せることで、心を開いてくれることもあるはずです。
コミュニケーションで利用者の生活に潤いを
利用者とコミュニケーションを取る上で、大切なのは利用者それぞれの名前をしっかり覚え、たくさん呼ぶことです。
例えば「おはようございます。」や「今日は体調いかがですか?」という声かけの前に「○○さん」と付け加えるだけで、相手の印象はがらりと変わります。
また、高齢の方だからこそ知る昔ながらの日常生活のマメ知識など、頼って聞いてみるのもよいかもしれません。
介護現場は介護職員にとっては職場ですが、利用者にとっては生活を送る場ですので、できるだけ快適に過ごすことができるように、毎日が楽しいと思ってもらえるようなコミュニケーションを取っていきましょう。