介護業界でも人気職種と言われているのが「生活相談員」ですが、実際にどのような仕事を行うのか、生活相談員になるのはどのような資格が必要なのかなど、ご存知でない方もいるかもしれません。
また、生活相談員というのは資格の名称と思っている方もいるようですが、資格ではなく職種の1つなので、その点なども踏まえて確認しておきましょう。
生活相談員と支援相談員の違い
生活相談員ではなく「支援相談員」という職種もありますが、行う業務は生活相談員と同じです。
介護老人保健施設(老健)では生活相談員ではなく、支援相談員と名称が変わるなど、施設によって呼び名が異なる点を理解しておきましょう。
老人福祉法で定められた相談員を生活相談員、老人保健法で定められた相談員は支援相談員といいます。
介護保険法は、それぞれの根拠法令のまま名称が引き継がれていますので、施設によって職種の名称は異なりますが、なるための要件や仕事は同じ内容です。
生活相談員になるための要件
生活相談員になるための要件はいくつかありますが、いずれかを満たすことが必要です。
まず、国が定める要件として、社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格のいずれかの資格を取得していることが必要です。
また、自治体ごとに、介護支援専門員、ケアマネジャー、介護福祉士の資格を取得しているか、老人福祉施設の施設長を経験している、または一定期間以上の介護経験があるなどの要件が設けられています。
各都道府県自治体による要件はそれぞれ異なりますので、介護福祉士やケアマネジャーも資格要件として含む場合もありますし、相談業務2年以上や介護業務2年以上といった資格のない方でも経験があればなれるという場合もあります。
生活相談員として働くことができる職場
生活相談員はいろいろな介護施設で必要とされていますが、特に、特別養護老人ホーム、短期入所生活介護(ショートステイ)、通所介護(デイサービス)、有料老人ホーム、障害者福祉施設、介護老人保健施設(支援相談員として)などで募集されていることが多いようです。
高齢者やその家族の生活相談を受け、問題解決のための援助を提供する専門職であるソーシャルワーカーとしての役割を担うことになります。
医療保険や介護保険の制度に基づいたサービス、NPO法人、ボランティアグループ、家族支援サービスなども利用できる情報を提供し、生活が豊かになるためのサービス提供を調整することも行います。
生活相談員の仕事内容
また、介護保険法による生活相談員の業務として、
- 入所者と家族の処遇上の相談対応
- レクリエーションなどの計画と始動
- 市町村との連携やボランティアの指導
などが挙げられます。しかし、施設の種別や規模、方針などで行う仕事や役割などは異なると理解しておきましょう。
利用者が入所する施設なのか、それとも通所で利用する施設なのかでも異なりますし、利用者が施設を利用する目的によって役割も変わります。
その中で共通しているのは、生活相談員は外部の機関と窓口としての役割も担うということです。在宅ケアマネジャーや医療機関、行政や公的サービスとも情報を提供する窓口として業務を行うことが必要です。
また、病床を効率的に運用するための管理・調整業務であるベッドコントロールなど稼働率管理も求められますし、苦情や意見を受け付ける窓口などの役割も担うなど業務は多岐に渡ります。
それぞれの介護施設ごとの生活相談員の仕事内容
生活相談員は勤務する施設によって仕事内容は異なる場合がありますので、介護施設ごとの生活相談員の役割を確認しておきましょう。
通所介護(デイサービス)
相談業務や周囲との連絡調整を行います。利用者のニーズを把握し、提供するサービスの計画を立て、付随する手続き、関係機関との連絡・調整などを行います。
短期入所生活介護(ショートステイ)
利用者の窓口としての役割を担います。利用者が利用する日程を調整したり、ケアプランの策定、部屋割り、苦情対応、ケアマネジャーや介護職員の調整などが主な仕事です。
特別養護老人ホーム
利用者の窓口として、また、介護職員の調整業務を主に行います。利用者の入退所手続き、利用者やその家族の相談対応、連携・調整などを主な業務内容としています。
生活相談員の配置基準
介護施設によって生活相談員の配置基準が制定されています。
なお、制定されている配置基準は施設の種類によって異なりますので、希望する施設によってはニーズが高くなると理解しておきましょう。
例えば、特別養護老人ホームや介護老人保健施設の場合、入所者と生活相談員の割合が100対1以上の比率で常勤による配置が必要とされています。
デイサービスなら1つの施設に1名以上必要であり、常勤でなくてもかまわないとされています。ただし、生活相談員もしくは介護職員のうち、いずれか1名以上は常勤職員を配置しなければなりません。
小規模デイサービスなら、生活相談員、介護職員、看護職員のいずれか1名以上が常勤であることが必要です。
施設によってニーズの高さは異なりますので、自分が働きたいと考える施設にどのくらいの人数で配置される必要があるのか確認しておくとよいでしょう。