皆さんは、5W1Hとは何のことかご存知ですか?どこかで聞いたことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。この5W1Hは、介護とも関係があるのです。
そもそも、介護現場の取り組みとして行いたいことに「ヒヤリハット」があります。これは、危ないことが起こったものの、幸い災害には至らなかった事象のことです。そこで、介護者は介護事業所で事故や災害が起きないようにヒヤリハットを洗い出し、予防に努めることが必要となります。
今回はそんなヒヤリハットについて、またヒヤリハットと5W1Hの関係についてご説明します。
「ヒヤリハット」を収集する目的
ヒヤリハットを収集する1番の目的は、重大な事故を防ぐことです。
介護をしているとき、重大なことは起きなかったものの、少しタイミングがずれていればケガや事故に繋がっていたということもあるのではないでしょうか。例えば、「シャワーチェアから車椅子への移乗時に、利用者さんが尻もちをついてしまった」といったようなシチュエーションです。このように、ヒヤリとした、あるいはハッとした危ない状況のことを「ヒヤリハット」といいます。
以上のような状況を介護現場で起こさないためにも、ヒヤリハットの事例をできるだけ多く収集することが大切なのです。対策を事前に取っておくことで、事故を防ぐことに繋がります。
介護現場でヒヤリハットが起こらないようにするために
まずは、介護職員が感じたヒヤリハットをしっかりと報告することです。そして、その情報を職員同士で共有することが大切となります。その上で、再発防止のための意見交換を行うとよいでしょう。同じようなヒヤリハットを繰り返さないために、報告・共有・改善を一連の流れとすることが重要となってきます。
また、介護職員それぞれがヒヤリハットを意識することが大切です。そうすることで、利用者に提供する介護サービスの質も向上していきます。
ヒヤリハット報告書の書き方
そもそもヒヤリハット報告書とは、事故に繋がる恐れのある状況報告や気付きレポートのことです。また、万一事故が起きてしまい状況説明が必要になったときにヒヤリハット報告書を作成しておけば、スムーズに説明や話し合いを進めることにも繋がります。利用者やその家族とのトラブルから介護職員を守ることにもなるため、ヒヤリハット報告書は大切なのです。
ヒヤリハット報告書は、介護職員それぞれが作成します。実際のところ、決まった書式はありません。作成におけるルールや方法は介護事業所の実態に合わせて独自に定めてよいことになっていますが、今回は主に記載すべき6つの項目をご紹介します。
1.発生した日時
2.発生した場所と場面
3.ヒヤリハット対象者の名前
4.問題となったこと
5.発生した要因
6.発生時の対処の仕方
このような項目を、簡潔にわかりやすく書くことが大切です。ヒヤリハット報告書を記載した本人だけが理解できる内容ではなく、誰が読んでも理解できる内容にしましょう。
ヒヤリハットと5W1Hの関係
上記で、ヒヤリハット報告書を書くときに主に記載すべき6つの項目をご紹介しましたね。実はこの6つ、「5W1H」と呼ばれているのもなのです。
5W1Hとは、以下の6つの要素をひと言で表したものです。
- When「いつ(時間)」
- Where「どこで(場所)」
- Who「だれが(主体)」
- What「なにを(目的・人・モノ)」
- Why「なぜ(理由)」
- How「どのように(手段・方法)
この6つの頭文字を省略したものが5W1Hです。これは、報告・連絡・相談の際に基本となる考え方です。
ヒヤリハット報告書を作成する際にも、5W1Hに内容を当てはめつつ記載していけば、簡潔にわかりやすく相手に情報を伝えることができます。
ヒヤリハット報告書の作成時に気をつけること
ヒヤリハット報告書を作る際、以下のことに気をつけましょう。
- 客観的な事実を書く
ヒヤリハット報告書は、書面として残ります。そのため、つい自らの保身のため言い訳や自分以外の誰かの責任であるといった内容を記載してしまいがちです。しかし、そもそもヒヤリハットは責任を追及するために収集するものではありません。万一の事故を防ぐためのものなので、主観をできるだけ避けて、客観的な事実を書くようにしましょう。
- 専門用語や略語を使用しない
ヒヤリハット報告書は、利用者の家族など第三者に開示することもあります。そのため、介護専門職にしか理解できない専門用語や略語を使ってはいけません。誰にでもわかる言葉や表現を使うように心掛けましょう。
その他にも、必要な情報を適切に書くことや、5W1Hを基本とすることなどにも意識して書くことで、伝わりやすいヒヤリハット報告書が完成するでしょう。
まとめ
今回は、介護現場でのヒヤリハットについてご説明しました。ヒヤリハット報告書を作成する際には、5W1Hが基本であることがわかりましたね。また、重大な事故を防ぐためにも介護現場の職員が情報を共有することは大切です。事前に対策するようにしましょう。