コラム

介護を必要とする利用者を内側から支えることができるメイクセラピー(化粧療法)とは?

女性にとって、外見を美しく保つことは楽しみでもあり、自信にもつながります。

 

介護施設に入所した女性利用者も、化粧をすることで外見を美しく保てるだけでなく、前向きな気持ちを維持できるようになるでしょう。

 

化粧の力を活用する療法を「メイクセラピー(化粧療法)」といいますが、その効果やメリットについて解説していきます。

 

高齢者を元気にすることができるメイクセラピー(化粧療法)とは

メイクセラピー(化粧療法)とは、化粧により生活を豊かなものにすることを目指すための療法です。

 

介護分野では、主に次のことを目的にメイクセラピーが行われます。

 

  • 認知症の改善や進行の鈍化
  • 介護予防・改善
  • ADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)の維持・向上

 

そもそも化粧は女性にとって身近なことですが、ケガや病気、介護などをきっかけに遠ざかることも少なくありません。

 

施設などに入所すると、外部の人との接触や交流の機会が減少し、化粧をする機会もなくなることもあります。

 

しかしだんだんと平均寿命が伸び、人生100年時代と言われる中で、年を重ねても自立した生活を楽しむことが必要です。

 

化粧により美を取り戻したり身なりに気を遣うことで、表情も気持ちも明るくなり、積極的に外出したいと考えるようになるものでしょう。

 

そして外出する機会が増えれば、人と交流することも多くなるため、社会とのつながりを保つことが可能です。

 

それにより、認知症の予防や健康寿命を伸ばすことにつながることが理想といえます。

 

主なメイクセラピーの例として、

 

  • スキンケア・メイクアップ
  • ヘアケア
  • ネイルケア・マニキュア
  • ハンドケア・ハンドマッサージ
  • 表情筋の訓練(ストレッチ)

 

などが挙げられます。

 

メイクセラピー(化粧療法)で期待できる5つの効果

女性にとって外見を美しくすることは本来の身だしなみでもあり、きれいだと認められることで自信にもつながります。

 

介護現場で利用者に対しメイクセラピー(化粧療法)を行うことで、利用者にとって主に次の5つの効果が期待できます。

 

  • 心身を健康へと導くことができる
  • ADL(日常生活動作)の維持・向上につながる
  • 認知症を予防したり改善させたりすることが期待できる
  • QOL(生活の質)の維持・向上につながる
  • 口腔機能向上と誤嚥性肺炎予防につながる

 

 

それぞれどのような効果が期待できるか説明していきます。

 

心身を健康へと導くことができる

化粧をして美しくなることで、「楽しさ」や「喜び」などを感じることができるようになり、様々なことに前向きになれます。

 

また、化粧にはリラックス効果があるともいわれているため、ストレスを解消することにもつながるでしょう。

 

スキンケアをすれば肌を清潔に保ち、血行促進やシワ予防にもつながる効果が期待できます。

 

ADL(日常生活動作)の維持・向上につながる

化粧をすることによって自信を持つことができれば、社交性や積極性なども高まるはずです。

 

身体を動かす機会を増やすこともできますし、化粧で使用する道具の使用で手指や腕を適度に動かし、筋力の維持・向上につなげることもできます。

 

認知症を予防したり改善させたりすることが期待できる

化粧では、

 

  • きれいな色を見る
  • 化粧品のにおいをかぐ
  • 手や顔にブラシなどが触れる

 

など、五感を刺激します。

 

これらの行為は脳の働きを活性化させ、過剰な気持ちを落ち着かせる効果や、反対に気分を高める効果が期待できるともいわれています。

 

QOL(生活の質)の維持・向上につながる

化粧をするときのわくわくする気持ちや、自信や意欲の高まりなどで生活の質を向上させることができます。

 

加齢により発生したシミ・あざ・手術痕など、気になる部分も隠すことができるため、外出を楽しむことができるようになるでしょう。

 

口腔機能向上と誤嚥性肺炎予防につながる

化粧をするときに顔のマッサージもすれば、口腔機能向上や誤嚥性肺炎予防につながります。

 

介護現場で自信をもってメイクセラピーを行うための方法

化粧をすることで、意欲や自信を高めることや、心身を健康に導くことが可能となります。

 

メイクセラピーでは、化粧の力を活用し生活をより豊かなものにすることを目的としており、すでに医療・福祉の分野で活用されている療法です。

 

利用者に対しメイクセラピーを行うとき、必ず保有していなければならない資格などはありませんが、メイクセラピストの資格があれば美容・化粧の知識・技術・カウンセリングなどの知識があると認められやすいといえます。

 

メイクセラピストは、一般社団法人メイクセラピストジャパン(メイクセラピー検定事務局)が認定する「メイクセラピー検定」があるため、資格取得を目指すと自信をもってメイクセラピーができるようになります。

 

利用者の脳の働きを活性化させることや、精神的なケアにもつながる療法なので、メイクで期待できる効果について学んでおくことをおすすめします。

-コラム