在宅介護と施設介護は、家族が自宅で介護を行うのか、それとも施設に入所させて専門のスタッフの方に任せるのかという違いがあります。
どちらもメリットやデメリットがあるため、利用者やその家族が望む形で介護サービスを提供できることが望ましいといえます。
そこで、在宅介護と施設介護、それぞれの特徴や利用してもらう上での注意点などについて確認しておきましょう。
家族の介護を在宅で行う方の苦悩
家族の介護が必要になった時、まだ施設に入所させるまでもないと考えることや、入所させることに申し訳なさを感じるなどの理由で、家で在宅介護を続けるケースも少なくありません。
ただ、介護を必要とする方と接する時間が長くなり、自分のプライベートの時間も少なくなってしまうこともあります。
仕事と介護の両立が難しくなってくると、続けたいと思っていた仕事もやめなければならなくなったり、それにより経済的な負担が重くなるなど様々な悩みを抱えることになってしまうでしょう。
しかしこれらの悩みや問題を、介護者が誰かに相談することはなく一人で抱え込むといったことも少なくないため、介護疲れなどが起きることも現在問題視されているところです。
在宅介護を続けるために、介護者がサポートできることとそうでないことを見極め、うまく介護サービスなどを使って負担が重くならないようにすることが求められます。
介護を完璧に行わなければと考える必要はありませんし、時にはリフレッシュなど休息をとることも必要なのです。
無理に在宅介護を続ける必要はない
在宅介護を行っていたものの、一人で介護し続けることは難しいと感じるのなら、介護サービスを利用してもらうことが必要です。
介護者が仕事や事情により自宅で介護できない時や、気分転換したいと考えた時には、ショートステイなど一時的に施設に入所する形での介護サービスも利用できます。
そして介護される側と行う側、それぞれの理由で在宅介護が難しくなった時には、これ以上無理だ、限界だと感じる前に施設介護に移行することを検討することが必要です。
ぎりぎりまで追い詰められた状態まで我慢せず、できないことを無理に行おうとして介護者の心身に負荷がかかることは避けるべきです。
在宅介護を続ける方には相談相手が必要
在宅介護では介護に費やす時間が増えてくるにつれて、だんだんと社会と接する時間や機会が減少してしまいます。
そうなると身体的な負担だけでなく、精神的にも負担を感じることになってしまうので、一人で抱え込まないようにするべきです。
親戚や友人に相談相手がいないのなら、ケアプランを作成するケアマネジャーがよき相談相手として、要介護者が抱える負担や悩みを聞いてあげることが必要といえます。
将来的な施設介護へのシフトも検討してもらう
施設介護に介護を必要とする方を入所させることは、まるで姥捨て山のようなイメージを感じ、罪悪感を抱いてしまうという方も少なくありません。
しかし、施設介護を利用するで、介護を必要とする方にも適切で安心したケアを受けてもらうことができますので、後ろめたさやマイナスに感じることは何もないことを理解してもらうことも必要です。
介護に慣れていない方が自宅で介護を続け、衛生状態が悪くなってしまったり、要介護者の身体にトラブルをもたらすことは苦しみを与えてしまうことになります。
それよりも、適切な処置やケアを行うことができる施設介護を利用したほうが、要介護者にとっても快適でよい環境で過ごしてもらうことにつながるはずです。
介護の悩みは介護のプロに任せてもらい家族の負担を軽減
在宅介護の場合、要介護者と介護者どちらにも無理が発生したり、負担を抱えてしまうこともあります。
無理なく在宅介護を続けるためにも、訪問介護やデイサービス、ショートステイなどの介護サービスをうまく活用してもらうことが必要です。
在宅介護と施設介護のどちらを利用するか迷っている方への対応
一旦家族の介護を自宅で始めると、24時間常に要介護者のそばについていなければならないという状態になりがちです。しかしそのような状況は、身体的にも精神的にも介護者を圧迫することになってしまい、介護疲れを生む原因になります。
ただ、ずっと一緒に生活していた家族だからこそ、できる限り自分で介護を行いたいと考える方もいるでしょう。そのような場合、在宅介護で利用できる介護サービスを活用したり、ケアマネジャーに相談して適切な介護サービスを見直してもらうことで改善策を見つけることができるかもしれません。
自宅で介護を続けることが難しい状態になった時には、ケアマネジャーと相談を重ねながら施設介護に移行することも検討してもらいましょう。
人は一人では生きていけません。周りのいろいろな形との関わり合いの中で生活が営まれることになりますので、一人で抱え込まないようにアドバイスしてあげることが大切です。